「労災保険の民間開放」に反対し、労働行政の発展を求め要請
    いのちと健康守る京都センターと京都職対連が京都労働局に
  
 政府の総合規制改革会議で労災保険を民間に開放しようという論議が進められていることについて、私たちは働くもののいのちと健康を守る立場から非常な危機感を抱いています。
 労災保険制度は労働基準法第8葦の労働災害に係る事業主の無過失賠償責任を国の保険制
度によって履行を図るために、設けられたものであり、憲仕上の「人権保障」を担う重要な
制度です。人権保障は国の第一の責務であり、労災保険の運営は国が責任を持って行うべき
です.
 労災保険の民間開放が行われれば、労働者のいのちと健康を守り、生活と職場復帰を保障
する権利としての労災保険制度が大きく後退する危険性があります。労災保険が民間損保会
社へ移管されることになれば、労働災害を発生させた職場の実態を立ち入って精査すること
なく机上処理のみによって認定枠を狭め、現行の給付水準を大きく後退させる可能性があり
ます.そして被災者の回復状況を丁寧に把握することなく不当な労災補償打ち切りも拡大す
るでしょう。そこには事業主責任が曖昧にされ、免罪されてゆくという状況が斐起します。
 とりわけ、過労死、過労自殺をはじめ疲労性の疾病や死亡など、兼務起因性の解明が困難な事案について、泣き寝入りせざるを得ない被災者や家族をたくさん生み出すことになります。今でさえ十分ではない実情にありますが、長年の貴職の努力によって認定基準の改善やその運用の改善がはかられてきたところであり、一層の改善を求めるものです。また民間保険会社では未加入事業所への適切な指導も行き届かず、保険料を支払わない事業所の労働者は労災補償を受けられない事態が多発し、未加入事業所に働く労働者は、人権が守られないという事態に陥ります。
 なにより重要なことは労災保険の民間開放によって、補償と予防の課題が切り離されてし
まう危険性が極めて高いということです。労働基準行政の「労働者保護」という目的は、使
用者の災審補償責任に基づく保険制度と労働災審防止や労働条件確保など監督指導との一体
的運営・連携強化によってはじめて実現が可能となることを私たちは実感しています。脳・
心臓疾患に係る労災認定基準と過重労働による健康障害防止のための総合対策の指導基準が
リンクしているとおり、京都でも過労死発生職場に対する厳しい改善指導が実施されてきま
した。労災保険の民間開放によって、このような監督・安全・労災各行政分野が一体となっ
て「労働者保誰」が爽現するということが不可能になってしまいます。
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 っきましては労働行政の立場として労災補償制度の持つ歴史的到達点を重視して、当面以
下の点に付いて衝関されるよう要請いたします。
1.労災保険の民間開放は絶対に行わないこと。
2.現行労災保険制魔の不傭について、早急に改善を図ること。
3.私たちの寅請主旨について本省ならびに総合規制改革会読に反映させること