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2015年10月06日

「労組で団交」の大切さ実感
〈日弁連の人権擁護大会から〉

キャバクラユニオンの女性

 日本弁護士連合会が10月1日に開いた人権擁護大会シンポジウム「女性と労働」のなかで、キャバクラユニオン(フリーター全般労働組合)のLondonさん(仮称、以下Lさん)が、ユニオンに加入したきっかけやお店との交渉の過程で感じた問題点などを発言した。「華やかに見える世界だが、給料天引きや罰金、賃金不払いなどが当たり前のように行われている」と実態を訴えた。

▲突然の退職勧奨

 Lさんは、都内のスナックで4年ほど働いていた。新しく変わったママから突然「明日から来なくてもいい」と告げられた。Lさん以外でも、ママが「(自分より年上で)使いにくい」と感じる店員への退職勧奨や、新人への暴言などパワハラもあった。

 労働基準監督署や法テラスにも相談したが事務的な対応で、「裁判になったら勝てるとは言い切れない」など参考にならなかった。キャバクラユニオンに相談すると、具体的な交渉の方法や効果、見込みについて知ることができ、「今後の店員のためにもパワハラをやめさせたい」との思いで団体交渉に踏み切った。

 交渉では、店員の証言を集めて経営者に提出。相手側弁護士からは「労働者はお店から気に入られなければ、(退職して)転々とするしかない」と言われ怒りに震えた。

 交渉により解雇は撤回された。Lさんは「水商売には法律が適用されないのではないかと自分も思い込んでいた」と振り返る。
 働き方を決めるのは労使間の交渉であり、使用者の一方的な都合であってはならない――Lさんの経験は、職場から貧困を打開していく他産業での取り組みにも通じるメッセージだ。

パート化促進で家庭と両立「オランダモデル」の実態調査

 仕事と家庭生活を両立させるには、残業を含めた時間短縮とそこそこの賃金が不可欠だ。日本弁護士連合会は、パート労働を促進しながらワーク・ライフ・バランスを追求しているオランダに着目。今年5月に訪問し、調査を行った。先ごろの人権擁護大会でもその一端が紹介された。

▲労働時間を選べる?

 オランダではいわゆる「1・5人モデル」という政策を推進。夫婦2人分の賃金は得られないが、労働時間にはゆとりを持たせる形をめざしてきた。日本でも2000年代の不況時に、仕事を分かち合うワークシェアリングが推奨され、オランダモデルが注目されたこともある。

 調査団の杉田明子弁護士によると、女性の就労率は80%で、その75%がパート労働だ。「パートといっても時間が短いだけ。差別禁止法があり、権利はフルタイムと同じで、待遇も労働時間に応じたものとなっている」(杉田弁護士)。だから、極端な低賃金を強いられることはない。

 労働時間調整法によって、労働時間の長さを個々の労働者が選択できる仕組みもある。1年間勤務すれば、時間短縮を申し出ることができる。通常、使用者は拒否できないという。

 それで経済が回せるのだろうか。アムステルダム大学のヒューゴ・ジンツハイマー研究所のフェア・フルプ教授は調査団に対し、「フルタイムよりパートの方が生産性が高い。EU(欧州連合)の中でも生産性は第2位」と述べた。

 杉田弁護士は「オランダでも男女の賃金差は約20%あるし、家事・育児の負担は女性中心。それでも日本の大きな格差と比べれば参考にできる点は多いのではないか」と語った。〈連合通信〉 

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