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2016年09月20日

キャンセル時の賃金補償獲得
テイケイワークスユニオン

日雇い派遣の脱法行為を正す

 物流・軽作業派遣などを行う「テイケイワークス」で日雇い派遣として働いていた労働者らが組合「テイケイワークスユニオン」(派遣ユニオン支部)を結成し、このほど団体交渉を通じて処遇改善を勝ち取った。組合員を対象に、仕事をキャンセルされた際の休業手当や有給休暇取得などを会社に認めさせた。派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「日雇い派遣の劣悪な処遇を是正させる流れをつくっていくための重要な一歩」と話している。

 具体的な改善内容は、(1)仕事をキャンセルされた時の賃金補償(100%)(2)年休取得(3)始業時間前に集合させられた際の賃金支払い(4)雇用保険加入(5)ハラスメントへの謝罪と慰謝料――の5点だ。関根さんは「前日の夜に突然仕事をキャンセルされるのは日雇い派遣労働者にとって死活問題。また始業時間前に集合させられる実態も広く行われているが、その時間分の賃金を支払わせたのは初めて」と指摘する。

 2014年12月に組合を結成して会社に団交を申し入れ、15年11月に一部解決した後、今年8月にすべて認めさせるまで1年半以上にわたる交渉だった。

▲勇気与える成果

「わたしは間違っていなかった」と話すのは、同社で日雇い派遣として働いていた30代の女性組合員。

 勤務当時「ミーティング」と称して始業の1時間以上前に集合することに疑問を持ち担当者に確認すると、それ以降仕事をまわされなくなった。さらに営業担当者に事実無根の噂を流されるなど嫌がらせを受け、問いただすと派遣登録を抹消された。「何か抗議すれば仕事を失うほど派遣の立場は弱い」と女性は訴える。

 派遣ユニオンに相談し、組合を立ち上げ声を上げた。しかし思わぬところからの反発もあった。仕事仲間の派遣労働者から、「仕事を頂いている立場なのに反抗的なことを言うのはおかしい」と言われたのだ。女性はこう振り返る。

「明日の仕事が確保できるかという不安のなかで、追い詰められて考えの幅がせばまってしまう。日雇い派遣を続けるなかで自信を失っていく仲間もいた。一歩踏み出せば、その『地獄』から抜け出せる」

 粘り強い交渉のなかで要求を認めさせ、会社の脱法行為も明らかになった。軽作業の業務では日雇い派遣が禁止されているが、会社は契約上35日間の「有期雇用派遣」とすることで脱法的に日雇い派遣を行っていた。契約書に記載された15日間程度の就労日とは無関係に日ごとの派遣先を指示され、「契約書の内容は気にしなくていい」などと言われた。交渉ではその点も追及し、突然のキャンセルだけでなく、契約上の就労日は実際には仕事がなくても賃金を支払わせた。

 ユニオンでは、同社で働く労働者を対象に相談会などを実施してきた。今回の成果を受け、日雇い派遣労働者が自らの要求の声を上げていく流れに結び付けたい考えだ。

〈用語解説〉日雇い派遣の禁止

 2012年の派遣法改正で、30日以内の労働契約による短期派遣(日雇い派遣)が原則禁止されました。31日以上の労働契約であっても、週あたり20時間(1日8時間として月11日間程度)に満たないような短期就労で契約を結ぶことは、社会通念上妥当とはいえないとされています(厚生労働省「Q&A」)。(連合通信) 

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