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2016年10月24日

「内戦状態に戻った」
時の問題

南スーダンでNGO関係者

 政府は10月18日、今月末までとなっている南スーダンへの自衛隊派遣を来年3月まで延長する方針を固めた。「駆けつけ警護」の新任務を負わせる判断を11月にも行い、派遣を強行する構えだ。7月に大規模な戦闘が発生し、停戦合意などPKO(国連平和維持活動)参加5原則が崩れていると伝えられており、現地を知るNGO関係者は「内戦状態に戻ったとみるべき」と指摘している。

 駆けつけ警護は、昨年9月に成立した安保法制(戦争法)で新設された任務。離れた場所で襲われた民間人や他国軍、国連職員を救助する活動で、派遣される自衛隊員の危険度は格段に高まることになる。

 南スーダンでは7月に大統領派(政府軍)と前副大統領派との間で戦闘があり、300人以上が犠牲になったといわれる。停戦合意などPKO参加5原則が守られているかが、国会論戦の焦点となっている。

▲無責任な安倍政権

 9月に現地で支援活動を行った日本国際ボランティアセンター(JVC)南スーダン事務所代表の今井高樹氏は「停戦合意は既に崩壊している。マシャール前副大統領は住居を政府軍ヘリに攻撃され、国外へ追われた。大統領派への攻撃継続を呼びかけていることからすれば、内戦状態に戻ったとみるべきだろう」と語る(10月12日、都内)。

 一方、稲田朋美防衛相は10月11日、わずか7時間の現地視察を元に「首都の状況は落ち着いている」と述べ、政府は派遣を強行する構えを崩していない。

 政府は「人道的観点の派遣」とも強調するが、事態は単純ではない。現地で脅威とみられているのは、国連への反感を強める南スーダン政府だからだ。

 今井氏は「実際、政府軍兵士が襲撃したホテルに滞在していたNGO関係者が救援を求めたが、各国のPKO部隊は断った。どの国の部隊も政府軍が相手ではちゅうちょする」「いま自衛隊を含め部隊を増やしても、(受け入れ国の)南スーダン政府が部隊の行動を制限するために何もできないというのが、国連、現地NGO関係者の共通の認識だ」と指摘する。

 仮に、政府軍と対峙(たいじ)すれば、事態は一層複雑化し、泥沼に陥る危険がある。事実上内戦状態なのに、「戦闘状態ではなく、勢力間の衝突」(安倍首相・10月11日、参院予算委員会)と言い換えて、PKO参加5原則違反の指摘をかわす政府の姿勢は無責任としか言いようがない。

 海外での武力行使の実績づくりを急ぐのではなく、現地のニーズを含む詳細な情報を公開し、「最も望まれる支援は何か」「日本がすべき支援は何か」ということを検討していく必要があるのではないか。(連合通信) 

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