建築関係者への「構造計算偽装問題」アンケート結果

「考える会」が見解発表 A

 
 
2、社会資本整備審議会建築分科会の中間報告(2月24日)について

 「中間報告」は、「悪意による偽装を含めて違反を見過ごさない仕組みを再構築すること」として、制度上の手直し整備や罰則強化を中心とした内密で、現行の建築確認・検査制度の枠組みをそのままにした、当面の施策となっています。それは、今回の事態の全面的解明と建築行政の再生の方向を明らかにしたとはいえないものです。
 「中間報告」は、「建築確認・検査の民間機閲の活用そのものは、合理的な政策選択であった」とし、建築行政の民間開放は合理的とする前提のもとで、確認審査・検査の充実・強化の当面の施策がうちだされています。その根拠は、完了検査の実施率が増加した点のみの指摘であり、建築物の安全性を確保する上での合理的な理由とは言えず、納得できる十分な説明がされてはいません。
 とくに、「行政だけでは十分な実施体制か確保できない状況の下で、官民の役割分担の見直し」を行ったことを合理的とし、行政の体制確保は限界とする考えと、行政の役割を民間の市場競争のもとでより効率的に達成することができるとする考えを引き続きとっています。
 また、新たな施策である「第三者機関」の役割と公正・中立性確保の保障についても、十分明らかにされていません。
 しかし、今回の事態は、建築の安全性確保などの公共の利益を守るペき建築行政をとう再生するかという点からの根本的解明をすペきであり、建築確認・検査業務を安易に市ば競争に任せ、行政の体制を縮小したことの問題解明こそ求められています。アンケートでも、「規制緩和、民間開放」の問題、効率・利益第一主義とモラル低下の問題の指摘がされていますが、それに対するメスが入れられず、解明をさけています。 「中間報告」では、建築行政が変質してきたという基本認識はなく、その問題の解明がされていないのです。そのため、国民にとっての建築のあり方を明らかにし、それを保障する公正・中立の建築行政を再生するための理念のない施策となっているといえます。

次へ