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府職労ニュース


2011年 5月13日

心ひとつに復興へ 
府職労連から3人が岩手に復興ボランティア

住宅地で泥だしに汗流す

 全労連・京都総評がよびかけた4月21日からの岩手県大船渡市を中心とした被災地でのボランティアに、府職労連から3人が参加。支援行動に参加しての感想を紹介します。

●被災者の厳しい現実を体感

 初日は、2週間遅れの中学校の入学式当日で、本来なら入学式が開かれているはずの体育館が活動場所でした。卒業式の式次第が貼られたままの体育館は、救援の衣類が詰まった段ボール箱で文字通り埋め尽くされていました。仕分けを進めようにも人が十分に配置できず、被災者へ行き渡る体制が出来ていないのではないか。どんどん搬入される衣類を前に、心配やもどかしさを感じながら、終わりの見えない仕分け作業に従事しました。

 2日目は、大雨の中、高台ながら床上浸水となった住宅からの依頼で、家財の運び出しを行いました。

 海水に浸かった後の強い異臭が漂っています。部屋には飲みかけの哺乳瓶が転がっていて、地震発生時の本当に慌てて避難した状況が目に浮かびます。津波でじいさんを亡くしたが、子どもたちは逃げて助かった、乳飲み子を抱え知人宅で避難生活。借家で大家さんから家屋を解体すると言われ、家財を運び出さないと行けないのだが、使えるものを置くところもない、全部捨てるしかない。車も廃車。仕事は社長が廃業すると言って首になってしまった。普通の若い被災家族の状況です。

●泥に悪戦苦闘

 3日目は、河川沿いの比較的新しい住宅街の泥かき作業。海から2・5㎞程離れていますが、1階の鴨居あたりまで津波が押し寄せた様子でした。泥ならすぐにかきだせますが、実際は割れたガラス片、衣服、おもちゃ、雑誌など泥にまみれたありとあらゆる混在物で、水産工場からの腐った魚も散らばって、スコップに絡みつきなかなか進みません。

 4日目の朝、大船渡市役所を訪れ市職労書記局で激励と要望をうかがいました。市役所は電気は通じているが固定電話が使用できない。インターネットはつながらない。自宅が流失し避難所から通っている職員もいる。少しでも休憩や休養を取って励まし合ってがんばろうと訴えているとのこと。

 その後、陸前高田市へ向かい、広大な見渡す限り破壊しつくされ廃墟となった市街地の光景を目にして愕然としました。

●被災地での経験を糧に

 今回の活動では、具体的にうまく言い表せませんが、被災地が必要としている緊急かつ膨大な支援と、実際の支援やその受け入れ体制との間の、地域的、質的、量的なギャップを強く感じました。

 もうひとつ被災地で感じたのは、大きな格差です。まず被災したか否か、家族が生きているか否か、家が流されたか否か。1カ月を過ぎると、もともとの経済的な格差や、失業、職・仕事があるかどうかの問題など、様々な格差が見えてしまいます。原発事故は、被災地間で全くレベルの異なる物的・精神的被害を与えています。

 家族・友人、同僚など多くの大切な仲間を失い、家屋や車や家財など多くの財産を失い、職を失い、地域も失った被災者が、考えたら爆発しそうな感情を抱え込みながら、「前を向くしかない」と自らを奮い立たせておられます。

 勤務を4日間休みましたが、急なことにもかかわらず送り出していただいた職場に感謝し、現地でしか分かり得なかった多くのことを伝える機会が持てたらと思っています。