自衛隊派兵はNGOの
   活動に障害

NGO「イラク救済基金」代表・
大平直也さんに聞く

私たちの目的は
イラクの子どもと日本の子どもつなぐ
平和のかけ橋

 
 NGO・イラク救済基金代表・大平直也さんが京都に滞在していたとき、イラクの現状、自衛隊派兵などについて聞きました。大平さんは、昨年の10月にイラクに行き、11月に「イラク救済基金」を設立、12月に再度イラクに赴き、子ども達の支援活動を行ってきました。今年1月23日に帰国したばかりです。
 「イラクの正確な実情は、ほとんど伝えられていないでしょう」という大平さん。「アメリカ軍がマスコミやジャーナリストに圧力をかけており、日本ではほとんどイラクで起こっている事実を認識できないと思っていい状況だ」といいます。そのリアルな状況を語っていただきました。

劣化ウランで苦しむ子ども

 今イラクで一番深刻なのは、戦争で親や家を失い路上生活を送っている子どもたちです。毛布や服、食糧などを届ける支援をしていますが、中には配った毛布を売ってしまったりシンナーを吸ったりしている子どももいます。
 市内の病院では、米軍が投下した劣化ウラン弾で被爆した子どもたちが苦しんでいます。その子どもたちに抗がん剤をもって行きました。しかし、2日遅かったため、目の前で8歳の男の子の命が奪われてしまいました。
 シンナーを吸う子どもを立ち直らせることは大変です。親が殺され、住むところも食べるものもままならない。その子達は「親を復興してほしい」といいます。それは、できません。ただ思いっきり抱きしめてやるだけです。
 自分の親や子どもの命を奪われたイラクの人々のアメリカに対する怒りはますます大きくなっています。このままでは子どもたちが将来テロリストになってもおかしくありません。

イラクの子どもたちの手紙を

日本の子どもに  私たちのボランティアのもうひとつの役割は、イラクの子どもたちと日本の子どもたちの交流の架け橋になることです。イラクで殺害された外交官の出身小学校の子どもたちの作文を届けました。その小学校で、イラクの子どもたちの実情を話したりもします。
 イラクの子どもの手紙を日本の小学校にも届けます。このとりくみが、日本とイラクに平和の橋を架ける上で重要だと思うからです。

私も自衛隊のスパイに見られた

 NGOの活動の障害になっているのが、日本の自衛隊派兵です。
 戦争の結果、銃や迷彩服に怯える子どもや女性たちに「自衛隊による人道支援」なんてありえない話です。イラクの人々は国連の職員であろうと軍隊を送り込んだ国の人に懐疑的になっており、自衛隊派兵が決まってからNGOもスパイと疑われ、活動が大変やりにくくなっています。
 自衛隊が行っているサマワは、100人以上の報道関係者やNGO、ジャーナリストなどがやってきて、雇用が増えて歓迎されているとのことですが、それはサマワだけのことです。イラク全体への影響は決して好ましくないんです。私の仲間がサマワに行きました。サマワには劣化ウラン弾が投下されたそうです。米軍は決して回収しません。自衛隊員が被爆する可能性もあります。 
 私自身、自衛隊のスパイと疑われました。非常に冷たい目線を感じました。自衛隊の派遣に反対していると必死で言っても、なかなか通じません。

日本でイラク戦争反対の世論を

 イラクの若者はいいます。「私たちはフセインがいやだと思っても変えることができなかった。いまアメリカの支配がいやだと思ってもそれを追い出すことができない。日本でイラク戦争反対の政府をつくってほしい」
 日本でイラク派兵反対の声を大きく広げることが私たちの役割だと思っています。

















ウラン弾や爆撃でたくさんの子どもたちが苦しんでいます。「イラク救済基金」は、子どもたちに毛布を届けたり、抗がん剤を提供したり献身的。上の写真は、吹田市職労・西谷さんが、イラク取材に行ったときのものです。
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