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シリーズ3 道州制 | ||
なぜ「道州制」なのか? 根本的議論を! |
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導入むけた本格的な動きがスタート 首相の諮問機関として、地方自治制度を検討する「第28次地方制度調査会」が発足し、「道州制」の導入にむけた本格的な議論が始まりました。04年1月からは「道州制基本法」の検討をすすめ、首相直属の「道州制推進委員会」(仮称)を設置する方針も決まりました。 一方で、政府はすでに、北海道を「道州制」のモデルとするため、「道州制特区」に認定するとともに、都道府県の合併手続きを簡素化するために、地方自治法改正案を04年の通常国会に提案する方針を決めています。こうしたもとで、2010年頃の合併を視野に入れた青森、秋田、岩手の北東北3県での具体的な動きも生まれています。 「市町村合併の次は道州制を」が財界の要請 既存の都道府県の枠組みを全国7から11ブロックの道州に「再編」しようという「道州制」は、戦後一貫して財界が掲げ続けてきた構想です。最近にあっても、「市町村を1000程度に再編」し、「合併により広域化した市町村に対応するため、道州制等広域行政の在り方を検討し、都道府県の役割・体制を見直す」(02年4月・経団連「地方分権改革について」)ことを掲げています。こうした要請をふまえ、「第27次地方制度調査会」では03年4月に、「(道州制は)今後さらに加速されると見込まれる経済活動の広域化に対応したインフラの高度化や産業の活性化をより効率的に行っていくという意義がある」とする「中間報告」を行いました。 京都は滋賀県との合併? こうした動きをふまえ、全国的には前述した動き以外にも、神奈川県知事による「首都圏連合」構想、岡山県の「中四国州」構想、富山県の「越の国」(北陸4県)構想などが提案されています。 一方、関西にあっては、関西経済連合会が大阪を中心とした広域連合関西州を提案しているのに対し、京都府では、03年7月に未来研究会(川勝平太座長)が「今後の短期・中期的な府県の姿の選択肢として、京都と滋賀の合併を視野に入れた検討が考えられる」と報告。山田知事も「効率化を追求するなら、府県合併を選択した方が現実的だと思う」と明言した(04年1月22日付「京都新聞」)とされ、03年12月からは両府県での人事交流もスタートしています。 あるべき姿の議論が求められている 市町村合併が一定進捗し、中核市と政令市の拡大・独立化、特別市構想も活発となっている下で起こっている現在の「道州制」や都道府県合併の動きは、従来からの一過性の議論にとどまらない本格的で具体的なものです。それだけに各方面からは、広域化した都道府県が、住民自治を基礎とする自治体としての体をなすのか、住民の参加や監視が届く規模を超えるのではないかなどの危惧が出されています。一方で、改めて都道府県の機能と役割を検証し直し、これを再構築しようとの動きも生まれています。 1888年に都道府県の骨格ができて以来、今ほど府県制という広域的な行政体制のあり方が問われていることはありません。地方自治制度のあるべき姿の議論が求められています。 ※参考文献「必携Q&A市町村合併と地方財政」(『議会と自治体』編集部編/新日本出版者) |
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■シリーズC |