有名国立大学への合格率競う学校「経営」へ

 「2年前、子どもの行きたい高校を広い地域から選べるということで山城通学圏が一本化されました。そのため、娘が行こうと思っていた高校はレベルが高いということで、仕方なく私立高校に行<ことになりました。府立高校なのに近<に住んでいる者が行けず、わざわざ遠くの高校へ高い授業料を払い、交通費も必要な所へ行かなければならないのでしょうか!子どもも納得でさません。また、その話が急で、心の準備ができていない子どもは嫌な思いをして高校に行<ことになりました」府民アンケートに精華町の女性からの声です。
 教育に対する不安が広がっています。いったい京都の教育は何をめざしているのか。 
  
 
「受験専門学科」が新たに4校でスタート

 今年の4月から府立高校4校に理数系専門学校が新設されす。「受験専門学科」です。桃山高校・自然科学科、南陽高校・サイエンスリサーチ科、西舞鶴高校・理数探求科、亀岡高校・数理科学科です。府内全域が校区になります。
 この専門学科制は、すでに府立嵯峨野高校、京都市立堀川高校が導入しています。嵯峨野高校の京都こすもす科は、京都府内全域が校区で、国公立難関大学合格を目指しています。新設される理数系専門学科は、「東大、京大、阪大という超難関大学に進学できるようなシステム校をつくる」のが目的という校長までいます。
 京都ではいま、「超難関大学に現役で進学できる」高校の予備校化が学校間の競争で進められているのです。そのための経営改革が高校現場ですすめられているのです。
 
 
「経営」の理念で進学率の低い高校は淘汰

 この「経営」とは、いったいどういうものでしょうか。見えてくるのは、進学率の低い高校は淘汰して「進学実績」の高い高校に教員も多く配置するというもの。
 「受験専門学科をつくり、府内全域から優秀な子どもを推薦で獲得し、京大、阪大、神大という難関大学に何人の子どもを入学させるか、競争させる。教師を予備校に研修に行かせ、3つの大学の入試予想問題をつくらせる、進学塾的高校」「進学実績が高ければ、特別の予算や教職員の配置をする」「豊かに高校生活を送ることやゆたかな人間を育てる学校づくりという発想はない」と府立高教組の佐古田副委員長は指摘します。
 
 「特色づくり」は、専門学科だけでなく、総合学科(久美浜高校、南丹高校)、普通か総合選択制(南八幡高校、洛東高校)、単位制高校や中高一貫教育など、国のいいなりの「教育改革」の京都直輸入です。
 「中学校から将来の進路を描き、高校を決めるというのは無理がある。中学校では授業のスピート化がはかられ、塾づけの子、ついていけない子、できる子とできない子が分けられ学校を面白くなくする事態も生まれている」とある父母は語ります。

 
選択の広域化で授業料よりも高い通学費

  子どもたちは、近くの高校にはいけず、授業料よりも高い通学費を払って高校に通う。
 通学圏の広域化で通学が大変になっているのです。京都市内から須知高校に通学するのに、本来は京都市内からJR園部駅・バスが普通ですが、バスの定期代が高いため本数の少ない福知山行きに乗り下山駅に自転車を置いて通学していた生徒、パート代より通学費の方が高いのでパートをやめて子どもを送り迎えする母親、専門学科づくりの裏で泣いている子どもたちが大勢います。

 
1学年8クラスを基準に高校を統廃合

 現知事は、1学年8クラスが適当という「学校経営」論から統廃合が進められている八幡・南八幡高校、城南高校と西宇治高校。今後京都府内の高校は1学年8クラスを基準に統廃合がすすむ可能性があり、定時制の定数削減、教育行政にも「勝ち組」応援、「負け組み」切捨ての姿があります。
 教師も生徒も輝ける教育が求められています。

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