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2012年12月11日

「コンビニ店主も労働者だ」
労組が都労委に救済申し立て

ファミマに団交応諾求め

 コンビニ大手「ファミリーマート」の加盟店主らでつくる労組が12月5日、同社に団体交渉に応じるよう求め、ファミリーマート本社のある東京都の労働委員会に救済を申し立てた。フランチャイズ会社との対等な交渉をめざす。コンビニ加盟店主の労働基本権については司法、行政上の判断はまだなく、労働組合の可能性を広げる新たな挑戦でもある。

▼労組法を根拠に

 労働組合法は、団交権を持つ「労働者」の範囲について、「雇用されているかどうか」を基準とはしていない。契約内容、業務への裁量、勤務時間・場所の拘束の度合い、報酬などの実態から判断される。

 原告や弁護団によると、ファミマのフランチャイズ契約期間は10年とされ、契約更新は会社の「自由な判断」で決められる仕組みだという。加盟店主には商品の仕入れや販売価格決定の裁量はなく、会社から毎月の収入分が振り込まれていることなどから、「加盟店主は労組法上の労働者である」と主張。団体交渉に応じるよう求める。

 兵庫県姫路市内で店を経営し、労組委員長も務める酒井孝典さん(52)は、来年7月に迎える初めての契約更新を前に不安な日々を過ごす。更新の基準が不明瞭で、会社に説明を求めても要領を得ないためだ。

 夫婦2人で月600時間ほど店に入り、年収は300万円台。「不良率や売れ残りなどリスクはすべて加盟店主が負う仕組み。システムを変えなければならない」と酒井さん。更新されなければ、開店時の数百万円の初期投資が回収できなくなるだけでなく、細々とした身入りも翌日から断たれてしまう。

▼労組の新たな挑戦 

 「労組法上の労働者」の定義をめぐる裁判では近年、最高裁が相次いで判断を示している。合唱団員や、「代行店」と呼ばれる家電製品修理・販売委託労働者、給排水設備の設置・修理委託労働者など3件の団交拒否事件について、団交権を認めなかった下級審の判断を否定。3件すべてで団交権が認められた。 コンビニ加盟店主については、岡山県労委で係争中の争議があるのみ。司法・行政判断はまだない。店舗という生産手段を持ち、「使用者」の顔も持つ加盟店主らは、先行例とはやや様相が異なるが、仕入れの裁量もなく、毎月給与らしきものが振り込まれるという業務の実態は、事業者とも言い難い。

 日本労働弁護団会長で、原告側代理人を務める宮里邦雄弁護士は、「事業者性と労働者性がある場合、どちらにウエートがあるかを判断するのが最高裁判例」と述べ、ファミマの加盟店主は団交権の保護を受けられるべきと説明する。

 法律の保護を受けられにくい勤労者の権利拡充に向け、労働組合の新たな挑戦が始まった。

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