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2012年 7月 6日

「慰安婦」の史実伝え続ける 
発言抄/写真家 安世鴻さん

ニコンサロンで写真展  

 2001年、中国に残された朝鮮人元「慰安婦」のハルモニ(おばあさん)たちと出会いました。

 第二次世界大戦当時、「慰安婦」として日本軍に連行された彼女たちの多くが10~20代。心身を汚され、終戦後も現地に放置されたまま、祖国に戻れないという、その存在に強いショックを受けました。

 「彼女たちの人権を回復し、ハン(恨み)を和らげるためには、どうしたらいいのか」――。

 私にできるのは、今もなお苦しみ続ける彼女たちの姿を写真で伝えることだと考え、取材を開始しました。

 しかし相手は女性です。男性として聞くに耐え難い話もあり、つらい取材になりました。

 高齢のため、他界する人もいて、巡り会えたのはわずか9人だけ。時間との闘いでした。

 03年に彼女たちを題材にした初めての写真展をソウルで開催。09年からは日本で講演会やミニ写真展を始めました。日本の人たちにも彼女たちの存在を知ってもらいたかったからです。

 そんな中、直面したのが、私の活動への右翼勢力による執拗(しつよう)な抗議でした。

 そうした影響のためか、新宿ニコンサロンでの写真展は5月、開催前にニコンから一方的に中止が伝えられました。

 カメラメーカーであるにもかかわらず、写真展という自由な表現の場を閉ざすニコンの姿勢に憤りを感じました。

 東京地裁に申し立てをした結果、会場使用を認める仮処分の決定が出され、ハルモニたちの写真展を予定通り開くことができました。

 来年は欧米での開催も予定しています。「慰安婦」の史実を伝えるため、不当な圧力に屈せず、これからも各地で写真展を続けていきます。(連合通信)

 アン・セホン 1971年韓国生まれ。中国に残された「慰安婦」など社会問題をテーマにドキュメンタリー作品を発表。                                                             

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