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2013年 7月30日

ダブルワークという働き方
最低賃金の周縁で

非正規公務員/時給1000円余でも苦しく

 「昼休みの1時間、お弁当を食べながらでもよろしければ」。都内の自治体で非常勤職員として働く女性Bさん(55)は、最低賃金で働く人の暮らしぶりをテーマにした、連合通信の取材要請に弾むような声でこう答えた。

 当日、昼過ぎに組合の事務所に訪れたBさんは勤続9年目。自身の近況や働き方について、よどみなく、時折笑いながら話す。非常勤職員の組合で世話役を務めながら、私生活では仲間とバンドを組み、老人ホームを慰問するボランティアも行う。

▼勤務1時間後にバイト
 
 快活な印象で、とても生活に追われているようには見えないが、話を聞くと、気が重くなるほど厳しい。自治体で担当する仕事は、もともと正職員が行っていた業務であるため、時給は1250円と世間相場より高めだが、ひと月の勤務回数は上限が16日に抑えられ、手取りは11万円余りに過ぎない。もちろん一時金はない。

 とても暮らせないので、午後5時に仕事を終えると、その1時間後には近所の焼き肉店で時給950円のアルバイトが始まる。

 取材を依頼する際に、Bさんの携帯電話がつながったのは、急ぎ足でアルバイト先へ向かう途中だった。

▼母の死、離婚で生活困窮
  
 母親の介護のために前職を退職し、ちょうど募集していた今の仕事に就いた。その頃は夫の収入や母の年金もあって、生活に困ることはなかったが、3年前に母親が亡くなり、夫とも離婚。暮らしはつるべ落としに苦しくなった。追い討ちを掛けるように舞い込んできた固定資産税に、築60年の自宅の修理。貯金は底を突き、賄い食事で1食分の経費を浮かせられる焼き肉店のアルバイトを決めた。

 一日の仕事を終えてホッとしたすぐ後に、再び気を張り直して別の職場で働き始めるのは楽ではない。アルバイト先の従業員はこれから仕事が始まる人々。疲れているからという甘えは許されない。通常は午後10時までだが、忙しい時には帰宅が深夜に及ぶこともある。8月は学生アルバイトが帰省する関係で、20日近く出勤する予定だ。

▼「倒れられない」

 体調を崩すのではと尋ねると、「倒れられないですね。風邪をひいたら、市販のサプリメントを飲んでひたすら眠るようにしています」。

 老後が不安だ。現在の自治体の仕事は、勤続年数の上限が「5年」。4年前は更新できたが、次に必ず更新できる保証はない。また、自宅の土地は親類名義のため、いつかは家をつぶさなければならなくなるのではという不安もある。その時、今の仕事でアパートに入居できるか。心配は尽きない。

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 Bさんの場合、アルバイトに月15日入るとして、ひと月の実労働時間は172時間。これでようやく総額19万円になる。時給に直せば1100円と少しという計算だ。
 2010年の政労使合意では、最低賃金について、「全国平均1000円」をめざすことが確認されたが、その「究極」の目標である「時給1000円」にしても、とても安心を与えられる水準とはいえない。それを考えると、全国平均749円、全国最低652円という現在の日本の最低賃金の水準はあまりに低すぎる。

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