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2013年12月 3日

偽装請負・ピンハネの是正を
福島原発事故の作業で派遣ユニオン

都労働委員会に救済申し立て

 福島原発事故の収束作業で横行する偽装請負やピンハネに対し、ユニオンが改善に乗り出した。派遣ユニオンは11月28日、作業全体の責任を負う発注元の東京電力と複数の下請け企業が団体交渉に応じないのは不当労働行為に当たるとして、東京都労働委員会に救済を申し立てた。指揮命令や雇用関係のない発注元にまで団交を求めるのは異例で、「問題の根本にある東電が発注条件を改善する必要がある」としている。

▲ウソだらけの事前説明

 ユニオンに原発労働の実態を告発したのは、元作業員の林哲哉さん(41)。「放射線量の高い区域での作業なのに事前に説明しないのはずるい」と訴える。

 林さんは元々、長野県内で自動車販売の営業をしていた。昨年6月10日、原発作業員の人手不足を知り「とび職の経験のある自分なら力になれる」と考え、5次下請けのRH工業と1年間の雇用契約を結んだ。あっせん会社の事前説明では「仕事は作業員への道具の貸し出し」「高線量の作業ではない」と言われた。日当は1万3000円。内訳は明らかにされていない。

 2日後に2次、3次下請けの会社からうその経歴書を渡され、土木作業の経験があるように装わされた。書類作成後、1次下請けのエイブルから「線量の高い作業があります」と初めて告げられた。別の作業員がRH社に抗議すると、「8日経つと(浴びた線量が)半減する」といい加減な説明をされたという。

▲抗議すると解雇・脅し

 契約から9日後に行われた原発構内での作業は、高線量下でのガラス撤去や配管の敷設工事だった。作業の指示は元請けの東京エネシスと1次下請けが行った。本来、下請け作業員に指揮・命令する権限はない。事前の説明とくい違うことに納得できない林さんが担当者に抗議したところ、即日解雇された。

 その後、自分で解決しようとしたが実家に脅しの電話がかかるようになったためユニオンに加入。林さんは「原発は国策で進められたもの。片付けも東電や国が自分たちで雇ってやるべき。労働者へ支払うべき賃金に何社も中間搾取に入るのはおかしい」と訴える。

▲東電は契約条件見直せ

 現在、RH工業とは解雇についての和解が成立。東電やほかの下請け会社に偽装請負や中間搾取の改善を求める団体交渉を申し入れているが、「直接の雇用関係がない」と拒否されている。派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「解雇の命令や通告は上位の請負会社が行っており、事実上の使用者に当たる。団交に応じるべきだ」と話している。

 日本労働弁護団幹事長の水口洋介弁護士は「下請けの間だけでピンハネなどの劣悪な労働条件をいくら解決しても、モグラたたきだ」と指摘。東電が契約条件に「危険手当を必ず払う」と書き込むだけでも効果があると言う。「収束作業は10年、20年と続く。東電には問題を解決する絶好の機会だ」と呼び掛けた。

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