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2013年 1月17日

約43万人分の新規雇用が可能
国公労連が試算を発表  

大手132社の内部留保1%で 

 国内の主要企業132社が内部留保の1%分を使うだけで約42万7000人を新たに雇うことができる──。日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)がこのほど行った試算の結果である。

 試算は、主要企業の2012年3月期決算から内部留保について全労連、労働総研がまとめた「2013年国民春闘白書」を基に内部留保の1%を取り崩した場合の雇用(年収300万円で1年間雇うと想定)増効果を算出した。内部留保は、連結利益剰余金、資本準備金、退職給付引当金、長期性引当金、資産除去債務の合計額としている。

▼全従業員賃上げも可能

 雇用増効果が最も大きいのは、内部留保額14兆1684億円でトップのトヨタ自動車。その1%分の取り崩しだけで4万7228人の雇用が可能だ。次いで、同じ自動車メーカーのホンダ、東京電力、NTTドコモが続く。電機リストラが吹き荒れたパナソニックは8位に入り、NECとシャープも約1800人雇用できる。上位8社の内部留保1%分だけでそれぞれ新たに1万人超を雇える。上位80社では、各1000人以上の雇用を生み出す体力があった。

 月1万円の賃上げ(年間、正規16万円、非正規12万円)についても試算したところ、従業員数が明らかな78社が内部留保の3%未満で非正規を含む全従業員の賃上げが可能だった。

▼賃上げでデフレ脱却を

 国公労連は、大企業が内部留保を賃上げに回さずにため込み続けていることがデフレの要因であると指摘。安倍政権が打ち出す大胆な金融緩和ではなく、「すべての労働者の賃上げで景気を回復させる取り組みが重要」と提言している。


内部留保は取り崩せる現預金が215兆円も

 企業のため込み利益である「内部留保」。労働者の賃上げ原資に回せと言うと必ず出てくるのが「ほとんどは土地や建物、機械などであり、取り崩すことはできない」「将来の投資や安定経営のために不可欠」という反論だ。では、実際どうなのだろうか。

▼資産の約3割が現預金

 内部留保とは、企業の税引き後利益から株主配当や役員賞与が支払われた後の額を指す。株主への配当後に残る「もうけ」の部分だ。会計上は「利益剰余金」「資本準備金」、将来の従業員の退職に備えて計上する「退職給付引当金」などが相当する。その中には預金や、受取手形、有価証券、公社債など現金化しやすいものが含まれている。

 少なくともこの部分の取り崩しは難しくない。

 日銀によると、昨年9月末時点で民間企業(金融機関除く)の持つ金融資産残高は約729兆円。このうち現預金が約215兆円で過去最高の27・2%に達した。現預金の残高はリーマンショック後の08年12月末から16四半期連続で増加。昨年12月28日付の日経新聞朝刊は「企業に『待機マネー』が滞留」と報じた。大量のお金が投資されずに眠っているのだ。

 お金が賃金の形で家計に回り、消費につながらなければ、将来の投資もない。

格差だけが拡大 

 労働者の賃金が伸び悩むなか、格差だけは拡大している。01年からの10年間で大企業製造業の役員報酬は20%以上アップしたが、労働者の給与は3・4%ダウンした。昨年は円高や高い法人税率、電力不足などの「6重苦」が叫ばれたが、3月期決算の上場企業の中で295人もの役員が、1億円以上の報酬を得ていた。仮に内部留保を取り崩せないというなら、まずは役員報酬を減らして賃上げに回すべきではないか。

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