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2013年 5月21日

野宿者を襲撃する少年たち 
投石や放火、死亡事件も

行政の人権無視が背景に

 野宿者への襲撃が後を絶たない。ほとんどが10代の少年によるものだ。昨年10月に大阪市内で富松国春さん(当時67歳)が殺された事件は記憶に新しい。犯人は16~17歳の少年5人だった。「まるでサッカーボールを蹴るみたいに殺された」と支援者の一人は憤る。

 東京の野宿者たちもまた、おびえながら暮らしている。特に墨田区、江東区といった下町では襲撃が頻繁だ。いずれも行政主導の開発によって野宿者が排除される傾向が強い地域だ。

▼繰り返し嫌がらせ

 江東区の竪川河川敷公園では、2009年に改修工事が始まってから、放火事件やコンクリートブロックの投げ落とし、花火の打ち込みなどが起き続けている。昨年2月の立ち退きを目的にした行政代執行後は、近くの中学生が集団で投石する事件が起きた。彼らは、動機について「警官や区の職員が大勢来て野宿者を追い出すのを見て関心を持った」と話しているという。

 国土交通省が「自然再生工事」を進める、荒川河川敷公園(墨田区)の事態はもっと深刻だ。

 ここに住むAさん(65)は、猫と別れるのが辛くて小屋を建てて野宿をしてきたが、11年夏、中学生たちに花火を打ち込まれた。隣の小屋にも石が投げつけられ、住人である男性(83)は「助けてくれ」と泣きながら助けを求めてきた。その後も、少年たちは投石を繰り返し、空き缶を拾いに行く野宿者を取り囲むなどの嫌がらせをやめない。Aさんは恐怖のあまり、「そばに人がいないと眠ることができなくなってしまった」。

▼国は全く動かず

 こうした襲撃の背景には、貧しい者に対する差別意識とそれを助長させるような行政の態度があるだろう。人権を守るべき立場にある行政が、都市の再開発や公園改修工事を優先させている。

 今年3月、野宿者たちは国土交通省、法務省、文部科学省と交渉し、襲撃の事実を訴えた。その上で、文科省には学校の人権啓発教育について、国交省には土地の管理者・工事実施者としての対応について、法務省には人権擁護の点からそれぞれ質問した。

 だが、各省庁の担当者たちは「野宿の問題はそれぞれの地域の特性があり、自治体に任せている」と口をそろえ、責任を全く取ろうとしなかった。

▼「仲良くなりたい」

 こうした国の無関心をよそに、竪川河川敷公園では4月の夜間から、区による公園全域を対象にした封鎖が始まった。野宿者たちは、高さ2メートルの鋼板フェンスに隔離されており、トイレにも行くことさえままならない。支援者らは、封鎖の即中止を求める署名活動を始め、近くの住民からも江東区の姿勢を疑問に感じて協力する動きが出てきた。

 野宿者たちは言う。「行政は人権を踏みにじってばかりいる」「野宿しているだけで殺される意味を考えていない」。

 「少年たちと仲良くなりたい」と話す野宿者もおり、中には「襲撃する少年たちも何らかの問題を抱えているはず」とかばう声さえある。襲撃をなくすことは、人間関係が希薄になりがちな社会を変えていく一歩になるのではないか。(ルポライター 根岸恵子)
                         

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