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府職労ニュース


2008年10月30日

不安、心配 検定業務の民間委託
京都府計量検定所

専門的ノウハウは一度失うと元に戻せない

 1500人の定数削減を目標とした「給与費プログラム」が実施されて3年。当局は、さらに新たな経営改革プランのもとで人員削減を推し進めようとしています。次のターゲットにされようとしているのが、農林の試験研究機関や労働分野では高等技術専門校の再編、業務の民間委託など府民の暮らしを支える最前線の施設の人員削減です。府職新聞では、関係する施設や職場を訪問し、最前線での問題点などをスクープします。第1回目は京都府計量検定所の業務委託の計画を追いかけました。

 はかり、タクシーのメーター、ガスや水道のメーター、お肉屋さんのはかり、ガス濃度計などの環境計量器…これらは、私たちの日常生活、商売、計量証明、研究活動などあらゆる分野で欠くことのできない存在で、社会が成り立つ基盤です。
 いま、この分野でもご多分にもれず、構造「改革」路線のもとで、規制緩和や民間委託がすすんでいます。

「検査・検定―都道府県の関与は必要最小限に」―安心・安全の問題が問われています
 規制緩和の申し子のように、平成5年「計量法」が改正され、はかり等について行政が行っていた計量器の定期検査は民間団体でも行えるようになりました。政府の計量行政審議会の答申は「都道府県の関与を必要最小限としていく」との方向性を示しています。
 しかし、食の安心・安全や染米の問題など、規制緩和の名のもとでルールを壊し、事後規制が成り立たないなかで、様々な事件や問題が起こっており、これまでの「規制緩和」、「民間能力の活用」が問われています。

すすむ計量検定業務の民間委託の検討 
 計量検定所では、計量器の検定・検査、食料品などの量が正しく計られているか、ガソリンなどの計量器が正確かなどを調べる立ち入り検査、啓発などが行われています。
 タクシーは京都で約10000台。毎日平均40〜50台が検定所を訪れ、検査をうけます。給油機等の計量器の検定や定期検査は職員が出張で行っています。予定表にはビッシリ出張の予定が入っています。
 計量検定所の業務の一つである「定期検査」は、「はかり」等の計量器を取引等に使用する事業者に対し、2年に1回、計量検定所の職員が行っています。法の「改正」でこの業務が公益法人や民間事業者に委託できるようになりました。計量器の会社が別団体をつくり検査を行うことも可能になります。
 さらに問題になるのが、「検定」業務の委託です。「改正」された計量法でも、この業務までは委託できるとはなっていません。しかし、京都府ではこの業務の委託の検討もすすめられています。
 「検定」とは、正確な計量器を供給するために、タクシーメーター、ガスメーター等の特定計量器といわれる計量器を検査し、国に認められた「検定」を行うことです。
 タクシーメーター(有効期間)、ガスメーター(業務用7年、家庭用10年)などの計量器ごとに決められた期間で「検定」を行います。
 検査し、確認し、合格すれば検定証印を付す。この業務はまさに社会の根幹に係る業務として、知事の権限とされ、問題が生じれば知事の責任となります。

計量・検定業務の民間委託―ここが心配
 計量検定所分会の方に、民間委託で心配されることについて伺ってみました。
 第一は、事業の継続性の問題です。業務が団体等に委託された後、委託費の減額等で団体が手を引いたら、誰が行うのかという問題です。
 専門的領域であるノウハウも人材も一度に失うことの危険性を指摘されます。
 第二は、「検定」を民間団体に安易に委ねることの法的問題です。委託できるとはなっていない計量法はもちろんですが、調べるのは委託団体が行い、合格を確認する業務は計量検定所の職員が行う部分委託方式でも、職員が業務を直接指示する偽装請負も懸念されます。
 第三は、給与費プログラムに基く人員削減がネライとしてあることです。14人で行っている業務を委託することで、約半数から1/3に減らされるのではないかという心配があります。
 第四は、全国均一であるべき計量検定行政が、規制緩和や地方分権のもとで、都道府県によって違いが出ていいのかという問題です。

後戻りできない問題だからこそ、拙速にすすめず、充分な議論を
 こうした問題のある民間委託について、知事は「民間能力の活用を図ることにより業務の効率化を推進する」と答弁しています。
 府民の安心・安全の根幹となる計量・検定業務の民間委託―「規制緩和」「人員削減」、新自由主義や構造「改革」で旗印となった言葉を使いながらすすめられようとしています。
 「後戻りのできない問題。拙速にすすめず、充分で慎重な議論を」―職員のあたりまえの声が響きます。


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