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府職労ニュース


2008年12月18日

試行は人材育成に生かされたか?
疑問と危惧の声次々

府当局の新しい人事評価制度

 府当局は、この間の府職労との交渉で新たな人事評価制度について、「人材育成と業務の進捗管理、給与反映など人事管理の基礎となるもの。これまで2回の試行を行ってきて、おおむね職員の理解を得た」として、来年度からの本格実施を提案しました。しかし職場では試行の不十分さ、相対化と給与反映に対しての不安や問題・疑問が多くだされています。いま必要なことは拙速な導入ではなく、十分な検証と課題の洗い出しです。

●研修、面談、フィードバックとも不十分
 これまでの試行が、どれだけ職員の人材育成に生かされたかどうかの検証が必要です。評価者研修、評価制度説明、評価項目やシートの内容も含めた自己評価、面談、1次評価、2次評価、フィードバック、苦情相談などの評価制度を構成する主な部分について振り返ってみます。
 人事評価制度では評価者研修が制度の根幹と言われるほど重要です。しかし、今年の評価者研修を見ても、新任者を中心としたもので全評価者を対象としておらず、時間も限られたものです。研修資料も「評価者の留意事項」レベルのもので、不十分と言わざるを得ません。
 面談についても、第2次試行では「雑談のようだった」など、人材育成につながるものでないとの声が多く聞かれました。また、「評価者が否定的な意見に終始し、自分の考えを押しつける内容だった」などの声も上がっています。
 第2次試行では、評点のみのフィードバックが行われましたが、「受けていない」が13・7%、「不満だ」との声も23・5%にのぼっています。第3次試行では、「12月1日以降、速やかに本人に職務行動評価及び目標達成努力評価の総合評点と総合所見(職務行動評価については、分野ごとの評点と所見もあわせて開示)を口頭で説明し、フィードバックを行う」としていますが、本人の納得を得る形で行われるかどうかが大きな問題です。

●相対評価は職場破壊を招く
 当局は本格実施にあたってそれまでの絶対評価でなく、職場ごと、部局ごとで相対評価し勤勉手当や査定昇給、昇任・昇格制度の資格要件に反映させたいとしています。
 しかし相対評価は、それまでの絶対評価とは決定的に違い、大多数の職員の努力やモチベーションに応えるものではなく、府民のための業務を組織で担う公務の職場に競争と分断をもちこむという決定的な問題をもっています。そしてこのことは当局自身が人事評価制度の第一のねらいとしている人材育成そのものをも歪めるものです。
 当局は人件費を引き下げるものではないとしていますが、人事委員会が勤勉手当について官民比較を行い0・75を勧告したものについて、人事評価制度で実績反映が行われると国の場合では「標準者」が0・72となり引き下げとなります。
 職務行動評価では、顕在化した行動を評価することになりますが、職務内容は千差万別で、それぞれが役割を担って府民の暮らしを支えています。「目立った仕事ばかり評価されやすいのでは」「縁の下の力持ちもちゃんと評価されるの?」などの不安があり、職場がギスギスし、円滑な業務執行の妨げとなる恐れがあります。
 人事異動がある下で、時々の所属長(評価者)によって昇給など生涯賃金が決まるしくみでは、「同期でも大きな差が生じるのではないか」との危惧の声もあがっています。

●アンケートでの声の集中を
 その他にも、「一人職場で相対化はどうするの」「派遣者は誰が評価するの」「年度をまたがり評価者が変わったらどうなるの」など多くの疑問や危惧の声が寄せられています。府職労は、現在とりくんでいる評価制度についてのアンケートを通じ、さらに多くの声や要求を集め、交渉で当局の姿勢を追及していきます。


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