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府職労ニュース



2014年 7月15日

地域経済に大打撃・京都で125億円の消費が消える
公務員の「給与制度の総合的見直し」

地域間・世代間で賃金格差拡大

 人事院は、8月の勧告に向けて「給与制度の総合的見直し」の作業をすすめています。地域や世代、職種、正規・非正規のそれぞれの賃金格差をさらに拡げ、中央省庁の官僚だけが賃上げとなる制度を構築しようと企んでいます。

▲生涯賃金で1200万円ものダウン

 官民格差の算定あたって、民間賃金が低い12県を選び出して比較することによって、国家公務員俸給表を引き下げるとしています。

 仮に2・5%引き下げられると、月額平均で8435円の賃下げとなります。50歳台後半層の昇給抑制とあわせると、今年の新規採用者で生涯賃金は約1200万円のダウンとなります。毎月の奨学金返済を迫られている青年層にとって、生涯賃金1200万円ものダウンは生活設計にも大きく影響します。

▲50歳代後半層を狙い打ちの賃金抑制政策

 人事院は、50歳台後半層の給与「賃金センサス」と比較して、公務が5~6%高いとしています。しかし、「賃金センサス」は対象事業所規模が異なり、公務と同種以外の従業員を多数含んでいること、非正規労働者も対象としていることから、比較対象とすること自体に無理があります。

 50歳台後半層はかつては「セカンドライフ世代」とされていましたが、晩婚化に伴い、今や子育て真っ直中で、60代も家族の生活を担っていかなければなりません。その世代を狙い打ちして賃金を引き下げることは、生活破綻は避けられません。

▲地域間格差をさらに拡大、キャリア官僚に不利な情報は閉ざす

 地域手当は現在でも0%から18%までの格差となっていますが、人事院は基本賃金を引き下げた原資で都心部を中心とした地域手当に再配分を行おうと考えています。0%地域との差が20%以上に拡大することとなります。京都自治労連の試算では、府内だけで176億円の賃金が減少し、125億円の消費が消えるとしています。地域経済への影響は図りしれません。

 一方で、人事院は級別官民格差の公表を避けていますが、国公労連が2013年の民調結果と国公実態の9級・10級の対応する給与を比較したところ、公務が民間を1万2000~7万8000円程度上回るっていることが明らかとなっています。キャリア官僚の賃下げにつながるデータは隠し、公務員全体の給与を下げるためには都合良く比較するやり方は、絶対許されるものではありません。

▲職種間格差の拡大と現業職員の採用抑制・委託化

 国は現業職員の給与については「行政職(二)表」を使用し、不当に低い賃金水準においています。人事院は「民間の同種の給与水準と乖離してきている」としてさらなる引き下げをねらっています。

 さらには、退職不補充で業務そのものを民間委託化を拡大しようとしています。

 昨年9月の台風18号災害の際に、真っ先に現場へ駆けつけ、ずぶ濡れになりながら長時間立ち尽くして通行止めを行い、水難事故を未然に防いだのも、道路パトロールの仲間でした。また、庁舎管理でも、退職不補充で清掃業務を委託した結果、トイレは水をかけただけ、廊下は水浸しであわや転倒事故につながる事態となっています。

 現業職員を行政からなくすことは、危機管理の観点からもあってはならないことです。                                                        

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