「こんな地域と日本をつくる」対話と共同の拡大を

解散・総選挙を政治を変える絶好のチャンスに

自治労連第27回定期大会、山口で開催

 自治労連は8月22、23の両日、山口市内で定期大会を開催しました。大会は、小泉内閣が「構造改革の本丸」と位置づけた「郵政民営化法案」が参議院で否決され、解散・総選挙がたたかわれるため、選挙の重要性を考慮し大会日程が1日短縮されました。
 憲法改悪阻止や自治体構造改革とのたたかいなどを柱とする新運動方針を決めるとともに、総選挙で小泉政権に審判を下すために全力をあげることを確認した。駒場忠親委員長(東京、再)、大黒(だいこく)作治書記長(愛知、新)を選出しました。
 方針は改憲阻止の運動について「日本の戦後史をかけたたたかい」と強調し、@改憲反対の住民過半数署名推進A自治労連のあるすべての職場で「九条の会」を結成B全国の自治体首長や議員、職員などによる「自治体九条の会」結成──などを呼びかけました。 小泉政権による「自治体構造改革」の下で行われている市場化テストや指定管理者制度などについて、行政サービスを市場原理に委ね、自治体の公共性を縮小・変質させるものと強く批判しました。「『こんな地域と日本をつくる』対話と共同の大運動」として、ブロック別シンポジウムや各市町村での懇談会を開くなど、共同を大きく広げることを提起しています。
 組織拡大では、山形、栃木、福井、島根、大分、鹿児島各県で自治体一般労組が誕生。これによって、すべての都道府県に自治労連組織ができたことも報告された。今後、自治体と関連職場の非正規・関連労働者を重点に組織化を強め、30万人産別をめざします。非正規も含んだ産別機能を強化します。
 賃金底上げや均等待遇、公契約を重視した「社会的賃金闘争」も進める方針。公契約ではモデル条例づくりを進めます。
 あいさつにたった駒場委員長は解散・総選挙を「任期が切れる2007年をまたず、政治の流れを変えるチャンスがやってきたと受け止め、小泉政治に審判を下そう」「戦後60年目の節目の年、『戦争する国』と『平和な国』をめぐる岐路にある今、自治体労働者として新たな歴史をつくるため奮闘しよう」と呼びかけました。
 

●全国で激烈な闘い

 討論では各地で展開されている自治体構造改革などとのたたかいが報告されました。
 北九州市は今年3月、病院やバス、水道、保育などの民間委託の検討に向けた報告書を発表しました。同市職労の代議員は「市は大型開発に相次いで失敗した。報告書はこれにふれず、市民の財産を民間委託で丸投げするものだ」と批判。五万部の市民ニュース宣伝などで反撃を始めていると報告しました。
 広島市は外郭団体全体の約2割にあたる247施設について指定管理者制度を導入し、運営者を公募している。代議員は「コストが最重視されている。公募で勝とうと、市営駐車場で賃金5割カット、スポーツ協会で2割カットなどの提案が相次いでいる」。「指定管理者は本当にひどい制度だ。廃止のための全国的運動を要請したい」と訴えました。
 長崎市は3月末、財政難を理由に156人もの嘱託員を雇い止めした。希望者については要件を満たせば継続任用するとの労使合意があったが、一方的にほごにされたといいます。
 隣接する市との合併につまずいた守口市(大阪)では当局が「合併しないと財政危機になる」として、賃金10%カットを提案。組合の取り組みで譲歩させたが、市は新たに学童指導員の大量解雇を提案してきたと発言。
 東京の多摩市職は当局の賃金2・5%カット提案を阻止した。財政問題で設置した労使協議会で組合側が、財政難の原因は大型公共施設などの建設にあると指摘して賃金カットに反対。当局は5月、「カットは現段階では困難」と表明しました。
 京都府職労を代表して福島書記次長が発言、府政リストラ、国民保護法の全国に先駆けた具体化など危険な府政の実態を報告、来春の京都府知事選挙で府政を変えるたたかいに全力をあげる決意を表明しました。 

「正義のためにたたかう」/自治労連大会で外国人組合員が発言

 「なぜ労働組合に入ったのか、なぜたたかうのか、とよく聞かれるが、一言で答えることができる。ジャスティス(正義)のためだ」
 自治労連大会初日の8月22日、米国出身の代議員が討論に立ちました。栃木公務公共一般労組に所属するジョージ・クリストファー・コータさんです。 自治労連本部によると、外国人組合員が大会で発言したのは初めて。
 ジョージさんは約10年にわたり、国際医療福祉大学(栃木県大田原市)で一年雇用の外国語講師を勤めてきました。昨年4月以降、大学側が外国人講師の賃金切り下げ、授業時間の延長など契約変更を強行したため、ジョージさんたちは6月に組合を結成。これに対し、大学側は「日本語がうまくない」などと言いだし、組合脱退を迫った。昨年度末には中国出身の組合員を一方的に雇い止め(解雇)し、ジョージさんも今年度末で雇い止めすると通告されています。
 組合側は大学当局の姿勢について、労組を嫌悪するばかりか外国人を差別するものであり、「『国際』の名に反し、教育機関とは思えない」と批判。地労委に不当労働行為救済を申し立てるとともに、大学への抗議、理事長あての署名運動などに取り組んでいます。 ジョージさんは経過を日本語で流ちょうに話したうえで、「ノー・ジャスティス、ノー・ピース(正義なくして平和なし)」という米国のことわざを紹介。「正義のために大学とたたかう。みなさんも正義のたたかいを続けよう」と述べると、大きな拍手が起きました。
 発言のしめくくりに他の代議員とともに「ノー・ジャスティス、ノー・ピース」と唱和を繰り返しました。国籍を超えた連帯の声が会場に響きわたった瞬間でした。

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